バーベルとの出会い

記憶にある限り、バーベルを握ったのは高校時代の2年生、水泳部の冬の陸上トレーニングの一環として、ウエイトトレーニングを行った時だ。顧問の先生が愛知県内で相当有名な水泳コーチだったこともあってか、1980年代の初めごろに既にウエイトトレーニングを導入していたのだ。と言っても、ベンチプレス台やマシーンがあるわけではなく、背中を中心に懸垂(2回ぐらいしかできなかったので、1分ぶら下がりを数セットやっていた)、ベントロウを行い、うつ伏せでパッドをプルするマシーンで仕上げる、という具合だった。使っていたマシ―ンは画像のような立派で高価なものではなかったが、強く引くとそれだけ高負荷がかかる方式の優れもので、適当に流していると「ほらあ~ちゃんと引かんかい!」と先生にどやされたものだ。

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正直、適当にやっていたトレーニングだが、1か月ほど経過すると、徐々に筋肉が大きくなっていることを感じた。クラスメイトも肩幅が前より広くなったようだと言ってくれた。そうなると嬉しいもので、それまで1日おきだったウエイトトレーニングを毎日行うようにしたのだが、2週間ぐらい続けた時点で疲れてしまい。1週間ぐらいまったくバーベルを握らなかった。顧問は「少し休め」とだけ言って、細かな話はしなかったが、書店で見つけたボディビルの本に、毎日トレーニングすることは筋肉の発達には良くなくて、トレーニング後はしっかり栄養を摂って休むことがもっと大事だと書いてあった。その本は窪田登先生が書かれた「新ボディ・ビル入門(ベースボールマガジン社)1972年」だった。

3年生になって水泳部を引退後、受験勉強体制に入ったわけだが、さまざま工夫して部屋の中でトレーニングを行っていた。リュックサックに古新聞を詰め込み、それをダンベルに見立て、床に寝てプルオーバーを行うぐらいが関の山だったが、水泳部での活動で得た胸郭がこの運動でどんどん大きくなっていった。ただ、古新聞を詰め込むだけでは重さに限界があるため、高回数で行うしかなかった。

さて、そういう中で無事大学受験をパス。上京することになった1983年の春。